双子の親となり喜んだのも束の間。まず直面するのが双子の授乳方法ではないでしょうか。一人の授乳なら周りに相談できる人がいても、双子の授乳経験がある人はなかなかいません。
仮にマニュアル通りに進めようと思っても、体調や性格、個性が異なるため、うまくいかないかもしれません。
そこで事前に双子のさまざまな授乳方法を知っておく事ができれば、赤ちゃんに応じた柔軟な対応ができます。
この記事は双子の授乳方法、夜間授乳の乗り切り方、双子授乳の疑問まで、私自身の双子授乳経験をもとにまとめました。赤ちゃんとママにとってベストな双子の授乳方法を知って、「辛い」を少しでも楽にしましょう。
双子の授乳方法は3パターン!それぞれのメリットとデメリットを紹介

双子の授乳方法は、一人の赤ちゃんへの授乳方法と変わりありません。しかしそれぞれの赤ちゃん・ママに適した授乳方法を選択しないと、苦労は2倍になるのです。
一般的な授乳方法に基づいて、双子ならではのメリット・デメリットをご紹介します。
パターン1:完全母乳
はじめの3ヶ月程度は母乳に免疫物質が含まれるため、病院では母乳を勧められるでしょう。しかし長期にわたっての完全母乳は、双子育児においてはテクニックが必要です。
一人ずつ授乳をすることは不可能に近いため、双子の完全母乳を選ぶママは以下のような方法を取ります。
- ママが座って、身体の周りにクッションや枕をセットする。
- 脇にそれぞれ双子を抱える。
- 双子におっぱいをくわえさせ、授乳をする。
首がすわらない新生児2人を抱えるため、赤ちゃんに慣れたママでも苦労をするでしょう。慣れるまでは、赤ちゃんをママの近くに連れくる人が必要です。ミルクを作る手間は省けますが、コツを覚えるまでに時間を要します。
パターン2:完全ミルク
ミルク授乳は、人に任せられること、頭を高くすれば大人一人でも同時授乳できることが大きなメリットです。双子が大きくなってくると、自分で哺乳瓶を持ってくれることもあります。
ミルクは母乳より栄養価が低いと思われていますが、どちらにも赤ちゃんの成長に必要な乳糖や脂質、たんぱく質などが含まれています。国内の粉ミルクは、国のガイドラインをもとに母乳に近づけて作られているため、母乳と大差ありません。
差をあげるなら、母乳には免疫物質が含まれること。赤ちゃんの感染症リスクを下げるという調査もあるため、初乳のみは与えてミルクに切り替えるというのも一つの方法です。
パターン3:母乳とミルクの混合授乳
混合授乳は、ミルクを併用しながら「できる限り母乳を」というママの気持ちを満たすことができます。双子の場合、混合授乳とは1人が母乳を、1人がミルクで授乳することを指し、2人同時に安定した姿勢で飲むことが可能です。
母乳の子はママの抱っこですが、もう一人はクッションやバウンサーなどに寝かせママが哺乳瓶を持ったり、ハンズフリーになるグッズを利用したりします。
家庭によって、授乳のたびにミルク・母乳を交互に飲ませる、授乳の最中で双子をチェンジしどちらにも両方飲ませるという方法をとっています。職場復帰の予定があり、将来的にミルクが必要な赤ちゃんなら、どちらにも対応できるようにしておくと良いでしょう。
夜間の授乳方法

赤ちゃんがいる家庭では「夜間に大人が睡眠をとれない」というのは、よく聞く話でしょう。双子になれば授乳回数が2倍になるため、1人の赤ちゃん以上に睡眠時間が削られます。
よっていかに大人が休息できるかを考えて、うまく双子の授乳タイミングを合わせていく必要があります。
バラバラな時間を合わせる事から始める
双子の授乳時間がバラバラな時には、合わせることを心がけましょう。「バラバラなままで1日中授乳をしている」というのも双子の家庭ではよくあることです。
我が家では、夜間に1人授乳の兆候があれば、もう1人も起こして授乳させていました。はじめは「せっかく寝ているのに起こすなんて」と抵抗がありましたが、タイミングを合わせないと授乳・オムツのループから抜け出せません。
昼間でも双子のタイミングを合わせた生活をさせていくと、夜間も徐々に大人が寝られる時間が増えてきます。できる限り双子にも協力をしてもらって、授乳期間を乗り切りましょう。
それぞれの授乳を記録して夜間授乳に活かす
双子の授乳を記録して、夜間授乳に活かすのも良い方法です。何をどれくらい飲ませたかを把握しておくと、その子の特性が分かってきます。
夜間にぐっすり眠る子なら、寝る前は母乳で満足してくれることもあります。頻回に起きる子なら、腹持ちが良いと言われるミルクの方が向いているでしょう。
どちらに何を飲ませて、次の授乳までどれくらいの時間が空くのか、アプリを利用すれば簡単に授乳記録を取ることができます。双子の授乳タイミングを把握して、夜間授乳に備えましょう。タイマー機能が付いたアプリもあるため、2人同時に起こすときにも便利です。
授乳記録アプリの一例
「双子の授乳」でよくある疑問

双子の授乳では、1人の授乳とは別な疑問を抱くことがあるでしょう。双子授乳の疑問に対する解決方法と注意すべき点を、自身の経験からご説明します。
双子の授乳に関する疑問1:赤ちゃんが入院中は母乳をあげられない?
双子が入院中でも、母乳をあげることができます。双子を出産した場合には、「お母さんだけ先に退院して、赤ちゃんはしばらく入院」というのはよくあることです。
直接授乳ができなくても、搾乳した母乳を母乳パックに冷凍して赤ちゃんが入院する病院へ届けましょう。退院後のママの母乳は、免疫物質を含む貴重な栄養源です。
赤ちゃんに適切なタイミングで病院スタッフが母乳を飲ませてくれるため、心配はありません。
双子の授乳に関する疑問2:2人分の母乳は出るの?
双子のママは、母乳の分泌が軌道に乗れば2人分の母乳を出すことが可能です。赤ちゃんが飲む量に応じて母乳は作られるため、たくさん飲む双子のママは1日に2Lもの母乳を出すことができます。
需要と供給のバランスが整ってこそ、2人分の母乳が分泌されます。よってはじめは赤ちゃん主導で授乳をスタートさせましょう。起きたり、舌を突き出すような空腹のサインがみられたら授乳を繰り返します。
母乳が多く分泌されると、乳腺炎や母乳の量に関係するトラブルも多くなります。ママはいつも以上の休息・食事・睡眠を心がけ、異変を感じたら産婦人科や母乳外来を受診しましょう。
同時授乳に便利なグッズは?

双子を時間差で授乳できれば理想的ですが、失敗すると待たされた赤ちゃんが大泣きすることも。
同時授乳は赤ちゃんへの負担を軽くするだけではなく、リズムが整ってくると時間短縮になります。同時授乳に便利なグッズを使用して、大人も休息をとりましょう。
ハンズフリークッションなら同時授乳が可能
ハンズフリークッションがあると、同時授乳が楽にできます。2人同時にミルクを与える場合、双子を枕やクッションに寝かせてママが哺乳瓶を両手で持つことが一般的です。
我が家の双子の場合、授乳に時間がかかっていたため腕への負担は大きいものでした。肩こりや腕の張りは日常茶飯事。
しかしハンズフリークッションがあれば、哺乳瓶をクッションにセットするだけでママの手がフリーになるため、腰や肩への負担が軽減できます。
ただ、ハンズフリークッションはあくまでも授乳をサポートするアイテム。授乳中は双子から目を離さないようにしてください。
ミルク授乳なら自動の調乳器が便利
自動の調乳器があれば、2人分のミルクがあっという間に完成します。一般的な赤ちゃん1人につき、親は0歳~3歳までの間で4000回ものミルクを作るそうです。2人だったら8000回です。
自動の調乳器なら、事前に粉ミルクと水を入れて必要な時にボタンを押すだけ。最適温度でミルクが出てくるため、人の手で作る時のように冷ます手間もありません。
機種によっては、粉ミルクのバーコードをスマホのアプリで読み込むと、適切なミルク濃度で自動配合してくれるものも。授乳記録や殺菌装置が搭載されたものもあります。
理想にこだわらなければ双子授乳はうまくいく!

今回は双子の授乳についてご紹介しました。双子の授乳は3つの方法からママが苦痛にならない方法を選びましょう。授乳はしばらくの間続くことなので、大人の都合で方法が変わっても問題ありません。
もちろん1人ずつの授乳でも良いですが、同時授乳は時間短縮になります。育児書通りにはいかないため、自分のやり方で上手にサポートグッズを取り入れながら授乳期を乗り切りましょう。
【参考文献】
Wicoz Inc.:Milk Nanny
株式会社スマイルケアジャパン社:ハンズフリー授乳クッション「ママ代行ミルク屋さん」
生馬医院:母乳の利点
よしかた産婦人科:母乳外来を受けるタイミング
そのほかにも双子についての疑問があれば、下記の記事を参考にしてみてください。