双子の出産はここが違う!出産方法や出産費用、夫の関わり方を理解しよう

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妊娠して双子だということが分かると、驚く気持ちと同時に出産に対する不安が出てくるでしょう。なぜなら周りの人に聞こうと思っても、双子の出産を体験した人はなかなかいないからです。

いま抱えている不安がなくなれば、準備すべきものやタイミングが明らかになるため、双子の出産に心穏やかに向き合うことができます。

この記事では、双子の出産方法や具体的な週数・体重、費用などを、私の双子出産経験をもとに解説します。双子の出産という奇跡のイベントを乗り越えると、旦那さんとの絆はより強いものになりますよ。

双子の出産方法は3種類

双子の出産には、自然分娩、帝王切開、自然分娩+帝王切開があります。分娩方法や選択ができるかどうかは病院の方針によるため、事前の確認が必要です。それぞれの出産方法や条件を見てみましょう

双子の出産方法1.自然分娩

双子出産を自然分娩で行うためには条件があります。最低限必要となる3つの条件についてご紹介しましょう。なお病院や医師の方針によっては、以下の条件が整っていても自然分娩が推奨されないケースもあるため、それぞれ確認が必要です。

条件1:医療機関が双子の自然分娩を行っている

まず、医療機関が双子の自然分娩を行っているかを確認しましょう。双子は多胎妊娠になるため、助産業務ガイドラインによると、「産婦人科医師が管理すべき対象者」とされています。

よって助産院では緊急時のトラブル対応ができないため、現状双子の出産はできません。病院によっては、双子の場合は出産中のトラブルの可能性を考えて、必ず帝王切開というところもあります

出産時の緊急手術はもちろん、出産後の新生児のケアができるかどうか、自然分娩を見守れる十分なスタッフを配置しているかなど、双子の自然分娩を行うためにはさまざまな条件があります。

条件2:母子ともに経過が順調である

双子の自然分娩は、母子ともに経過が順調でなければトライできません。病院によっても、「順調」と判断する条件は異なります

一般的には、母体に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症などの合併症がないこと。赤ちゃんのコンディションが良好であること、前期破水の危険性が少ないことなどの条件が設けられています。

病院によっては、1人目が頭位、1800g以上なら自然分娩が可能としているところもあり、週数や双子の体重などの細かい条件は施設によってばらつきがあるのが現状です。

条件3:経産婦の場合には前回も自然分娩である

双子の自然分娩を希望する場合、経産婦の場合には前回も自然分娩であることが条件になります。前回の出産が帝王切開だった場合組織が薄くなっている箇所があり、子宮破裂のリスクが高まるためです。

子宮破裂の発生頻度は1%未満と少ない確率ですが、発症すると帝王切開に切り替えなければなりません。輸血や子宮摘出手術が必要になることもあり、母子ともに命に関わる可能性もあります。

これらのリスクは単胎出産にも伴うリスクです。双子となるとさらにリスクが高まるため、経産婦の場合には、前回も自然分娩であるということが条件の一つになります。

双子の出産方法2.帝王切開

双子の場合、短時間で安全な出産ができるという理由から、帝王切開が選択されることが多いです。赤ちゃんの胎位やコンディション、母体の合併症の有無に関わらず安全に出産できます。私自身も双子を出産する際は、帝王切開でした。

帝王切開は、緊急を要するケース以外には、日時を指定できるというメリットがあります。心構えを持つことができますが、開腹手術のため自然分娩よりも出血量が多くなったり、お腹に10~15㎝ほどの傷が残ったりします。

術後はまれに、下半身で形成された血栓が肺動脈を詰まらせる肺血栓を起こすことがあるため、早期の歩行訓練を指示されました。私は入院中、この歩行訓練がもっとも辛かったです。

リスクを考慮して1人目は自然分娩、2人目は帝王切開になることも

自然分娩にトライしたケースでも、1人目は自然分娩、2人目は帝王切開になることがあります。1人目の誕生後、医師が2人目を安全に出産できないと判断した場合には、緊急帝王切開に切り替えるのです。

2人目が胎位を変えたり、へその緒が出てきてしまったり。分娩が長引いて赤ちゃんの状態が悪くなった場合などには、安全に出産できる方法を選択します。

自然分娩を選択する場合にはこのようなケースもあるため、突然の事態にも対応できるよう、疑問や不安点は事前に医師に確認しておきましょう。

双子が出産になる週数は

双子を出産する場合、具体的な週数・体重は病院によって異なります。日本多胎支援協会のデータをもとに、単胎のケースと比較して見ていきましょう。

単胎よりやや早い妊娠36週~37週が平均の週数

単胎では妊娠37週~が正期産とされていますが、双子の場合には単胎よりやや早い妊娠36~ 37週が平均というデータが出ています。帝王切開の予定を組む際には、この37週前後を目安に決定されます。

しかし、早産と判断されるケースでも心配しすぎる必要はありません。赤ちゃんの器官形成は肺が最後で、妊娠32週前後で完成します。妊娠32週に満たない出産の場合には、赤ちゃんの治療が長引くことも多く、双子妊娠の場合にはこの「妊娠32週」が第一目標になります。

我が家の場合は、妊娠32週での出産でした。赤ちゃんは退院まで約1ヶ月を要しましたが、現在では2人とも元気に小学校に通っています。

平均体重は日本多胎支援協会のデータによると2200~2400g

双子の出産は日本多胎支援協会のデータによると、平均2200~2400gとされています。双子は2500g未満の低出生体重児であることが多いですが、体重が少なくても妊娠37週以降であれば健康に問題がなく、年齢に伴って徐々に体重が追いつくことがほとんどです。

昨今の新生児医療の発達により、妊娠28週以降、1000g以上であれば、比較的予後は良好とされています。健診の際にもおおよその体重を教えてもらえることがありますが、心配しすぎないようにしましょう。

我が家の双子もなかなか体重が増えませんでしたが、出産間際にぐっと増加し二人とも1500g前後の出産でした。穏やかな妊娠生活を送り、できるだけママのお腹で赤ちゃんを育ててあげることを意識しましょう。

双子の出産費用について

双子の出産に関わる費用について解説します。おむつや手間は2倍かかる双子ですが、2倍もらえる制度もあります。知識として知っておくと、上手に利用して出産を乗り切ることが可能です。

帝王切開は保険適用になる

双子の出産が帝王切開になった場合、保険適用になります。帝王切開は50~70万円前後、自然分娩では30~70万円程度かかるといわれており、双子の場合は出産前の管理入院費や健診等を含めると80万円を超えるケースも

管理入院の期間や病院によっても費用は異なりますが、保険適用になることで自己負担金額が下がり、民間保険の入院給付金や手術給付金の対象になります。

双子の出産に費用がかかることは事実ですが、保険適用になることを考えればプラスに転じることもあのです。

出産育児一時金は2人分もらえる

出産育児一時金は、双子の出産の場合は単純に2倍もらえます。出産育児一時金は、1人当たり42万円出るため、双子の場合84万円受け取れるということです。

入院費や出産費用は病院によって異なりますが、双子を出産した場合でも、84万円を超えるケースは多くありません。

なお「出産育児一時金直接支払制度」を利用すれば、出産育児一時金を直接利用した医療機関に支払ってくれるため、退院時は差額が生じた場合のみ負担すれば良いということになります。

ママの入院期間や出産方法で費用が異なる

双子の出産費用は、管理入院の期間や出産方法によっても異なります。とくに双子の場合には妊娠の経過でトラブルが生じることが多いため、管理入院や帝王切開を覚悟しておきましょう。

母子の状態や入院する病院にもよりますが、帝王切開だと自然分娩より10~20万円高く、40~50万円が相場です。管理入院費は1日1~2万円を想定しておけば間違いないでしょう。

検査や薬、手術などは保険適用になるため3割負担ですが、食費や診断書、個室を利用した場合の差額は自己負担です。

双子を出産した時の入院期間

双子を出産した時の入院期間は、病院によって数日の差があります。おむつ替えや授乳、沐浴の指導もこの期間で行われるため、ママは出産を終えた直後からハードスケジュールをこなさなければなりません

自然分娩なら単胎と同じ5日前後

双子の出産が自然分娩の場合には、ママの入院期間は単胎出産と同じ5日前後です。母子ともに問題がない場合には、病院によってはすぐに母子同室になることも。

この場合、入院中にできるだけ家での生活を想定して動きましょう。不安や疑問点は、看護師さんや助産師さんにどんどん質問します。双子のいる生活を知っている人を頼りましょう

母子別室の場合には、睡眠を取ったり、同室の双子ママと情報交換をしたりすることをおすすめします。双子サークルに所属しない限り、同じ境遇のママと出会うことはなかなかありません。余裕があるときにネットワークを築いておくと、励みになることがあります

帝王切開だと7日前後

双子の出産が帝王切開の場合には、自然分娩より入院を要することが一般的です。私が入院した病院は、経過が順調なら7日間の入院でした。

帝王切開の場合、赤ちゃんが新生児集中治療室に入院することも多いため、ママとは別々の日に退院する可能性があります。そして赤ちゃんが入院している間は、母乳を病院へ届けなければなりません。

よってある程度体力が回復したら、このタイミングで看護師さん、助産師さんに搾乳方法を教わりましょう。教わりながら搾乳を続けていると、退院する頃にはリズムができてくるため、赤ちゃんに新鮮な母乳を届けられます。

双子の出産に夫は立ち会いが可能か

双子の出産だと、単胎出産のように夫が立ち会うことはできるのでしょうか。夫の立場・考え方を尊重しつつ、夫婦が納得できる出産の形を話し合いましょう。

立ち会いを行っている病院なら可能

双子の出産に夫が立ち会うことは、立ち会い分娩を行っている病院なら可能です。しかし「自然分娩なら」という条件がつきます。

双子の場合、短時間で二度の出産を経験しなければなりません。腰や背中をさすってくれたり、飲み物を飲ませてくれたりすればママの気持ちが安定するだけではなく、夫も「パパ」になったことを自覚してくれるでしょう。

立ち会いをすると、その後の育児にも積極的に参加してくれるという話もよく聞きます。しかし立ち会い出産を行っていない病院もあるため、事前に確認をしておきましょう。

帝王切開は立ち会い不可

双子の出産が帝王切開になると、夫の立ち会いは不可能です。手術室は清潔区域があるため、一般の人の出入りを禁じています

あらかじめ帝王切開が予定されていた場合には気持ちの整理がつきますが、出産の過程でトラブルが生じた場合には、緊急帝王切開が行われるため動揺することもあるでしょう。

しかしこれまで話し合ったことや、支え合って過ごした妊娠期間は無駄ではありません。赤ちゃんをより安全な手段で迎えるというだけで、赤ちゃんを迎える感動や喜びは立ち会い出産と同じです。

立ち会いに無理強いはしない

ママが夫の立ち会いを望んでいる場合でも、夫が拒否する場合には無理強いしないようにしましょう。とくに双子の場合は二度立ち会わなければならないため、血が苦手な夫の場合トラウマになってしまうことがあります。

産後一番大変な時にパパのサポートが受けられなくなっては困るため、出産時には具体的にママがどのようなことをしてほしいかを話し合っておくと良いでしょう。

夫婦ともに立ち会い出産に積極的な場合は問題ありませんが、どちらかが拒否している場合には、話し合いを重ねて折り合いを付ける方が賢明です。

出産前後は夫婦のコミュニケーションを大切に

双子の出産は、自然分娩・帝王切開のほかに、自然分娩+帝王切開という3パターンがあります。出産方法は病院の方針によるため、十分に説明を聞いて出産に臨みましょう

また妊娠期間には、夫婦で出産・育児の具体的な役割を話し合っておくとスムーズです。身近に出産した人がいれば、何が大変だったのかを聞いてみると良いでしょう。

双子の場合、産後は夫婦でコミュニケーションを取る時間がなくなります。夫婦の得意不得意分野を見極めて、臨機応変に対応できる体制をつくりましょう

【参考】

この記事のライター

青空 太陽

青空 太陽

【資格:病院勤務 / 診療放射線技師】
小学生の双子を育てながら、Webライターとして活動中。 双子の乳幼児期の度重なる入院・手術の経験、自身が持つ医療系国家資格を活かして、 多胎児の育児・障害児の育児についても分かりやすく発信できたらと思っています! 最近はまっていることは、調理家電をフル活用した料理とゲーム、家庭菜園。 子供達も野菜同様、まっすぐ素直に味わい深く育って欲しいと願う今日この頃です。