【双子出産経験者】双子の妊娠はいつわかる?双子妊娠のリスクを低減する方法

【双子出産経験者】双子の妊娠はいつわかる?一卵性と二卵性の判明時期や多胎妊娠のリスクを低減する方法

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妊娠したことが分かると、身近に双子がいる方や双子を望んでいる方が気になるのは「双子かどうかいつわかるのか」です。

双子の妊娠が判別できる時期は、双子の状況によって異なります。単胎妊娠以上の安静度が求められ、健診の頻度が高い双子妊娠。

早めに双子であることがわかれば、より周囲の理解・協力を得やすくなりますよ。

こちらの記事では、双子出産経験者の筆者自身が体験したことをもとに、双子妊娠はいつわかるのか、リスクや双子妊娠の兆候などをまとめました。

定期健診で早めの診断を受け、安全・安心な出産ができる環境を整えましょう。

双子の妊娠はいつわかる?

双子の妊娠はいつわかる?
双子の妊娠が分かる時期は、双子の状況によって異なります。

妊娠しているか否かは一般的に妊娠4〜5週で分かりますが、双子の場合には2つ胎芽(妊娠10週以前の胎児)を確実に確認してから告知されるためです。

筆者の場合も、はじめて診察を受けた時には「妊娠していますね」という話だけでした。

双子がいつわかるかは、下記のポイントがあります。

  • 一卵性と二卵性でいつわかるかは異なる
  • 妊婦健診で判明することが多い
  • 経腟超音波なら妊娠初期に確認できる

一卵性と二卵性でいつわかるかは異なる

ひとことで双子といっても、一卵性と二卵性でいつ分かるのかは微妙に違います。二卵性なら単胎妊娠同様の妊娠4〜5週で分かりますが、一卵性なら6〜7週とやや遅れる傾向です。

二卵性の双子は超音波検査で胎嚢(赤ちゃんを包む部屋)が2つ確認できることから、多くの場合妊娠と同時に分かります。

しかし一卵性の双子は、1つの胎嚢に2つの胎芽(妊娠10週以前の胎児)が確認されてはじめて双子だと判明します。

胎芽が確認できるようになるのが妊娠7週目と言われているため、筆者のように一卵性の双子の場合には判別がやや遅れるのです。

妊婦健診で判明することが多い

医師の指示通り受診していれば、一卵性でも妊娠6〜7週までに双子かどうかが判明します。

妊娠初期は1〜2週間に1度の妊婦健診が一般的であるため、双子かどうかはこの妊婦健診でわかります

私の場合には、5週目で妊娠を確認できましたが、その時点では双子という診断には至りませんでした。再度2週間後の健診で双子であることが分かり、準備や報告に追われることになったのです。

単胎妊娠の場合、妊婦健診は最大4週間程度間が空くことがあります。

しかし双子の場合には安定期がなく、病院側も状況を把握しておきたいため、2週間に一度の健診を促しています

経腟超音波なら妊娠初期に確認できる

医療機関を受診して経腟超音波検査*を受ければ、双子かどうかが判別します。

妊娠初期は双子かどうかを確認できないことがあるため、確実な判定を受けるには妊娠6〜7週の時期がベターです。

経腟超音波検査とは

プローブとよばれる超音波発信装置を膣に直接挿入する検査です。膣に挿入することで、より胎児に近い位置で子宮を観察することができます。経腟超音波検査で胎嚢・胎芽・心拍をそれぞれ確認できれば「双子」です。

超音波検査というと腹部超音波検査を想像する方が多いですが、妊娠11〜12週までは赤ちゃんにより近い位置で観察できる経腟超音波検査が選択されます。

お腹が大きくなると腹部超音波検査を用いるようになりますが、状況によっては経腟超音波検査を併用することがあります。

筆者が体験した多胎妊娠のリスク

筆者が体験した多胎妊娠のリスク

見た目には可愛い双子ですが、多胎妊娠はママにも赤ちゃんにもリスクがあります。筆者自身が体験した多胎妊娠のリスクをご紹介します。

  • 妊娠に伴うママのリスク
  • おなかの赤ちゃんが負ったリスク

妊娠に伴うママのリスク

多胎妊娠のリスクは、ママによって多種多様です。筆者自身が体験したリスクはごく一部で、ママの状況によっても対応が異なります。

心配・不安がある場合には、遠慮せず医療スタッフに相談しましょう。

  • リスク1:早産による管理入院
  • リスク2:帝王切開

リスク1:早産による管理入院

多胎妊娠の1つ目のリスクとして、筆者は双子を妊娠中に早産予防のための管理入院を体験しました。多胎妊娠は早産が多く、その確率は2017年のデータでは単胎が4.7%に対して多胎は50.8%

通常は1人を育てるためのお腹で2人を育てているため、当然といえば当然ですよね。

正規産は37週〜41週ですが、早産とは、妊娠22週〜36週と予定より早めに外に出てきてしまう状態です。

早産で在胎期間が短いほど、以下の影響があることが分かっています。

  • 赤ちゃんの生存率の低下
  • 赤ちゃんに障害が残る可能性

よって、できる限りママのお腹に留めておくために、早めに入院をして点滴や注射・投薬を受け、安静を保ちます。

筆者は31週の出産でしたが、産前休暇に入ってすぐ(出産予定日14週前)に入院になりました。

リスク2:帝王切開

多胎妊娠の2つ目のリスクとして、筆者は帝王切開を経験しました。

多胎妊娠だからといって必ずしも帝王切開というわけではありませんが、筆者の場合2人とも逆子であったこと、子宮頸管*が短くなって早産の危険性が高まったことが帝王切開の決め手になりました。

双子でも、母子ともに妊娠の経過・状態が良く、赤ちゃんが頭を下にした「頭位」であれば、正常分娩が可能です。

医師の判断や病院の方針で決定されるため、こればかりは自分の希望通りにはいきませんでした。

帝王切開は、手術翌日から歩行訓練を開始します。赤ちゃんを無事に出産しても、弱った身体で痛みを我慢しながら歩行練習する数日間は苦痛でした。

子宮頚管とは

子宮から腔をつなげる筒状の部分を指し、外からの細菌を防いだり赤ちゃんが子宮外に出るのを防ぎ、分娩時には産道として機能します。

おなかの赤ちゃんが負ったリスク

多胎妊娠は、お腹の赤ちゃんにもリスクがあります。リスクはママと赤ちゃんの状況、在胎日数にもよって異なりますが、筆者が経験したリスクをご紹介します。

  • リスク1:胎児2人とも低出生体重児
  • リスク2:NT

リスク1:胎児2人とも低出生体重児

筆者の子ども達は、2人とも低出生体重児でした。単胎の赤ちゃんが低出生体重児で生まれる確率が8.17%に対して、双子の赤ちゃんが低出生体重児で生まれる確率は71.65%

この結果からも、多胎妊娠に低出生体重児が多いのは明らかです。

筆者の子ども達はどちらも1600g前後だったので、低出生体重児という分類でした。赤ちゃんの体重によって、以下のように分類されます。

  • 低出生体重児:2500g未満
  • 極低出生体重児:1500g未満
  • 超低出生体重児:1000g未満

昨今の医療の進歩により、設備が整った病院なら超低出生体重児でも救命できる可能性が高まりました。

赤ちゃんの話を聞くことはできませんが、当時は筆者の子ども達も相当な苦労をしたんだろうと思います。

リスク2:NT

筆者は妊娠中の定期診察の際、主治医から「NT*が厚い」と指摘を受けたことがありました。妊娠12週前後の時期だったと思います。

NTとは

nuchal translucencyの略。超音波で観察した際に赤ちゃんの頸部に透過像が見られる現象です。

NTは必ずしも病気ではなく、赤ちゃんの向きや姿勢によって変化することもありますが、NTが厚くなると染色体異常やダウン症の発生頻度が高くなるといわれています。

筆者の子ども1人にこのNTの肥厚が指摘されたため、大学病院の受診を勧められました。

大学病院受診後、染色体異常の有無を確定する検査に移行すべきかを委ねられましたが、「授かった命だから」と、そのまま経過を観察することに。

出産に至った結果、NTを指摘された1人に心臓疾患がありましたが、複数回の手術を済ませ、現在は普通に小学校に通っています(成績の不出来は親譲りですが……)。

多胎妊娠のリスクを低減するためには

多胎妊娠のリスクを低減するためには
多胎妊娠のリスクを低減するためには、親自身が知識を備えておく必要があります。

健診で主治医の話を聞くときに、すんなり頭に入ってくるため、万が一の事態にも対応することができるでしょう。

  • 双子の種類を知る!一卵性=「受精卵が1つ」二卵性=「受精卵が2つ」
  • 羊膜と胎盤の数から膜性診断を行う
  • 双胎間輸血症候群の確率について知っておく

双子の種類を知る!一卵性=「受精卵が1つ」二卵性=「受精卵が2つ」

双子を授かると、「一卵性?二卵性?」とよく聞かれます。一般的には、1回の月経周期で排卵するのは1つで、人間は1人ずつ生まれてくるのが通常です。

しかし、なかには一般的な過程を辿らないことがあり、これが多胎妊娠に該当します。

排卵された1つの卵子が、1つの精子と受精後に2つに分かれて成長したのが一卵性の双子、一度に2つの排卵があり、それぞれ精子が受精して成長したのが二卵性の双子です。

さらに複数個に分かれたり、1度に複数個排卵されたりして着床に成功すると、三つ子・四つ子ということになります。

一般的に、一卵性の場合には見た目がよく似ていて、二卵性の場合には見た目が異なります

羊膜と胎盤の数から膜性診断を行う

双子であることが明らかになると、定期健診に加えて「膜性診断」を行います。

膜性診断は妊娠10週〜14週くらいで行われ、双子の羊膜と胎盤の数を判別して妊娠中のリスク管理に役立てます。

羊膜と胎盤がそれぞれ2つずつある2絨毛膜2羊膜双胎は、比較的栄養供給のバランスを保つことが可能です。

胎盤が1つの1絨毛膜2羊膜双胎、1絨毛膜1羊膜双胎においては栄養供給バランスが乱れることや、場合によって手術が必要になることも。

膜性診断によってリスクをきちんと理解できるため、妊娠生活において注意すべき場面、健診の頻度や管理入院の時期など計画が立てやすくなります。

双胎間輸血症候群の確率について知っておく

双胎間輸血症候群とは、1つの胎盤を共有する一絨毛膜性の双子に起こり、以下のような症状を引き起こすことがあります。

  • 胎児水腫
  • 羊水過多
  • 心不全
  • 高血圧

双子のどちらか一方に多く血液が送られ、もう一方が血液不足になるなど血流バランスが崩れることでこれらの症状が出ます。

上でご説明した1絨毛膜2羊膜双胎の10%に起こるとされており、筆者も妊娠中に医師より説明を受けました。

双子妊娠の兆候・症状・状態は?

双子妊娠の兆候・症状・状態は?
妊娠の兆候は月経が来ない、悪阻症状があるなど身体の変化で気付く人も多いでしょう。

自身で正確な判断をすることは困難ですが、双子妊娠の場合には以下の症状を伴うことがあります。いずれにしても妊娠が疑われる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 悪阻が重い人がいる
  • 体重が増えやすい
  • 妊娠検査薬は正常に反応する?

悪阻が重い人がいる

双子を妊娠した場合、悪阻が重いという人もいます。悪阻とは月経予定日から1週間程度経過した頃に始まる、吐き気や胸の張りなどの症状です。

双子の場合、2人分の胎児に血液を送る必要があるため、心臓や血圧に負担がかかることは確かです。

筆者が双子を妊娠した時には、早い時期から悪阻症状があり、3か月前後はまともな食事ができない日が続きました。夜中でも症状があったため、気が付くとトイレで寝ていたということも。

その一方で、まったく症状がなくいつも通りに仕事をしていたという双子ママもいます。

悪阻には個人差が大きく、悪阻の有無で双子かどうかの判断はつきません。しかし筆者のように悪阻が重いという人がいるのも事実です。

体重が増えやすい

双子妊娠の兆候として、体重が増えやすいという人もいます。体重が増える以外に浮腫みやすくなるという人も。双子妊娠は赤ちゃん2人分の体重だけではなく、羊水の量も単胎妊娠より多くなります

母体には、単胎妊娠より1日300kcal余分にエネルギーが必要というデータもあるため、体重が増えるというのは納得できる症状です。

体重が増えるからといって自分を責める必要はありませんが、塩分の取り過ぎや貧血には十分注意しましょう。

インスタント食品や外食を控え、野菜や魚、豆類などをバランスよく摂る必要があります。

また浮腫むからといって、水分制限をすることはおすすめできません。便秘や血栓症を引き起こすことがあるからです。

浮腫んでも血圧上昇や尿蛋白などの症状がない限りは心配ありませんが、不安な時には医療機関に相談しましょう。

妊娠検査薬は正常に反応する?

双子を妊娠したときでも、妊娠検査薬は正常に反応します。妊娠検査薬は、尿中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンを検出しています。

双子妊娠中はhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が単胎よりも多く分泌されることが知られているため、一般的に判定が可能な妊娠4週目以前に妊娠検査薬が反応する可能性はありますが、市販の妊娠検査薬で自宅判定する方もいるため正確なデータは得られていません。

筆者の考えとしては、フライングでもし陽性判定が出ても、受診して確定診断を得ることに変わりはないため、自宅で検査する場合には一般的な妊娠4週目以降を基準に検査すれば良いと考えます。

働くママへ:双子の妊娠が分かったら

働くママへ:双子の妊娠が分かったら
双子の妊娠が分かった場合には、なるべく早く公にすることをおすすめします。双子はハイリスク妊娠のため、妊娠の過程でトラブルが起こることも否定できません

仕事を頼む側も頼まれる側も、お互い気持ちよく過ごせる環境を目指しましょう。

  • 注意!双子の産前休業は時期が違う
  • 初期の妊婦健診に備えて早めに職場に報告する
  • 安心・安静がとれる環境を心がける

注意!双子の産前休業は時期が違う

双子の産前休業は出産予定日の14週前から取得が可能です。これは労働基準法第65条に記載されています。

単胎妊娠の場合は出産予定日の6週前から取得となっているため、念のため担当部署に確認をしておきましょう。

産前休業は、本人の申請で取得できる任意の措置です。法的には、妊娠の経過が順調でもう少し働きたいという場合には就業が可能ですが、双子はハイリスク妊娠。無理せず早めの休業を検討しましょう。

なお産後休業においては、単胎妊娠と同じ8週間です(本人の請求と、医師の許可があれば産後6週間〜就業可)。

双子の出産が2日以上に渡った場合には、2人目を出産した日を出産日として数えます。

初期の妊婦健診に備えて早めに職場に報告する

双子の妊娠が分かったら、頻繁な妊婦健診に備えて早めに職場に報告することをおすすめします。健診時だけではなく、双子は重い悪阻や急激な体重増加など、急な体調不良に陥ることもあるからです。

筆者自身は、双子の妊娠が分かった翌日に職場に報告しました。

その後、重い悪阻、双子の精密検査のための受診など仕事を休むことが多くなったため、早めの報告をしていて良かったと思います

お願いする立場は心苦しくもありますが、協力してもらったことは「自分が万全になった時」にお返しすればよいだけのこと。

気持ちを切り替えて、この時ばかりは周囲に頼りましょう。

安心・安静がとれる環境を心がける

職場によっては、妊娠を報告すると仕事内容を見直してもらえることがあります。早朝や空腹時の悪阻症状がある場合には、時差通勤が認められたり、補食の時間が認められたりすることも。

筆者自身は病院勤務だったため比較的容易に周囲の理解が得られ、残業を外してもらったり、重い機器を扱う業務をかわってもらったりしました。

悪阻が重い時期には、仕事を休んだ経験もあります。

自分が出勤できるときには、同僚が休憩をとれるよう配慮したり、事務作業に徹したりして、安静を心がけながらなんとか産前休暇までまっとうすることができました。

産休についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてくださいね。

早めの対策で双子妊娠のリスク回避に努めよう

早めの対策で双子妊娠のリスク回避に努めよう
双子の妊娠がいつ分かるのかは赤ちゃんの状況次第です。妊娠の兆候があれば、早めに受診しましょう。

双子妊娠が分かったら、職場に報告しておくことも忘れずに。仕事と同様、「報告・連絡・相談」をすることを心がけましょう。

双子妊娠がハイリスク妊娠である事を理解してもらえれば、仕事内容や環境に配慮してくれることがあります。

気遣いを受けた時には、きちんとお礼を言うことも忘れずに。普段からクリーンな人間関係を築いて、妊娠中は安心・安全な環境作りに努めましょう

こちらに双子の出産に関することをまとめた記事も紹介しておきます。
事前に知っておくことで、安心して双子を迎えることができると思います。

この記事のライター

青空 太陽

青空 太陽

【資格:病院勤務 / 診療放射線技師】
小学生の双子を育てながら、Webライターとして活動中。 双子の乳幼児期の度重なる入院・手術の経験、自身が持つ医療系国家資格を活かして、 多胎児の育児・障害児の育児についても分かりやすく発信できたらと思っています! 最近はまっていることは、調理家電をフル活用した料理とゲーム、家庭菜園。 子供達も野菜同様、まっすぐ素直に味わい深く育って欲しいと願う今日この頃です。