夜泣きはいつから? 大人も赤ちゃんもぐっすり眠れるようになる月齢別のポイントと対策

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育児のお悩みで多い「夜泣き」細切れ睡眠に慣れていない大人にとっては、夜の細切れ睡眠が続くのはつらいものですね。
はじめての育児では「こんなに泣いて起きるのは、うちの子だけ?」と不安になることも少なくないことでしょう。

そもそもなぜ、赤ちゃんは夜に泣いて起きるのでしょうか。
赤ちゃんの眠りの特徴を知り、眠りを育てる毎日のルーティンを行うことで、多くの場合はある月齢ぐらいになると徐々に、親子でぐっすりと眠れる日が増えていきます。
「親子で夜にぐっすり眠る!」を目指し、ぜひ記事を読み進めてくださいね。

この記事の監修者

日本初の「夜泣き外来」小児科医/菊池 清

菊池 清
日本初の「夜泣き外来」小児科医

福岡県生まれ。1977年3月京都大学医学部医学科卒。医学博士。現 兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どものリハビリテーション・睡眠・発達医療センター長。倉敷中央病院、京都大学医学部附属病院、島根大学医学部附属病院、島根県立中央病院で小児科医として勤務。この間、1989年〜1992年にワシントン大学(米国、セントルイス)で成長因子の研究に従事。日本初の夜泣き外来を2018年に立ち上げる。全国から夜泣きに悩む親子が受診に訪れている。日本小児科学会認定 小児科専門医、日本内分泌学会認定 内分泌代謝科(小児科)専門医、日本感染症学会推薦 インフェクションコントロールドクター、ドクターオブドクターズネットワーク認定 優秀専門臨床医、成長科学協会 地区委員、日本睡眠学会会員。第一種放射線取扱主任者。前 島根県立中央病院 病院長。
『夜泣きが止まる本 子どもも親も毎日ぐっすり眠れる!』(菊池清著/風鳴舎)

夜泣きはいつからいつまで?

夜泣きはいつからいつまで?

生まれたばかりの赤ちゃんは、とっても小さいですね。胃も小さくて、まだそれほど多くの母乳やミルクは入りません。また、これから徐々に昼夜の明暗のリズムを身につけていくところです。

赤ちゃんは、最初はみんな「食べる力(飲む力)」や、「夜に眠り続ける力」「昼に起き続ける力」が十分に育っていません。

成長するにつれて「食べる力(飲む力)」が育っていき、1回に飲める授乳量が増えていくと、授乳間隔も長くなっていきますが、生まれたばかりの頃は昼夜問わず赤ちゃんの要求に合わせて何度も授乳をすることになるので、夜も何度も起きることになります。

また、最初のうちは昼夜逆転になることも多いものですが、生活リズムを意識して育んでいると、生後3〜4か月頃には昼と夜の明暗のリズムが徐々に身についていきます。

そして、生後半年ぐらいには、夜間の授乳回数が少なくなっていき、数時間まとめて眠るようになる子が増えていきます。しかし、赤ちゃんの睡眠の質は大人とは異なるので、1歳ぐらいまでの期間は夜に細切れに起きなければならないことがしばしば起こります

そもそも夜泣きとは?

1歳までの期間というのは、赤ちゃんの眠りが未発達なので、夜に細切れに起きなければならないことがしばしば起こります。
「食べる力(飲む力)」や、「夜に眠り続ける力」「昼に起き続ける力」が十分に育っていないためであったり、眠りをつくる脳が発達している途中であったり。

夜に何度も泣かれてしまうのは大人にとってつらいものですが、赤ちゃんが

  • 昼間に機嫌がよくて、
  • 眠そうではなく、
  • 活発でしっかり遊ぶことができている

のだとしたら、赤ちゃんにとっては単に眠りが未発達なだけだということが考えられます。

大人にとって細切れ睡眠はつらいところですが、「赤ちゃんは今まさに発達している真っ最中なんだな」と考えられると、泣いて起きてしまう赤ちゃんを「大丈夫だよ、頑張ってるね」と応援したい気持ちにもなれますね。

赤ちゃんの眠りは脳がつくる

眠りは脳がつくります。
赤ちゃんの脳の機能や構造は、生後2か月頃、生後6か月頃、2〜3歳頃を節目として発達し変化していきます。そして、2〜3歳頃までの睡眠は、夢を見ることが多く、睡眠の質が大人とはかなり違うということもわかっています。赤ちゃんは眠りが浅くなる回数が多いので、細切れに起きなければならない状況が起こるのですね。

大人の睡眠
新生児期から生後2ヶ月までの睡眠のイメージ
生後6ヶ月から2歳ころまでの睡眠イメージ

『夜泣きが止まる本』(風鳴舎)より許可を得て掲載。

そういえば私が夜泣きに苦労したのも、生後2か月頃、生後6か月頃だったように思います。
赤ちゃんによって個人差があるようですが、

生後2か月頃の昼夜逆転の時期は本当に大変で、
生後4か月頃に少し落ち着いたように感じていたものの、
生後6か月を過ぎた頃にまた夜中に起きることが続き、

困っていました。
赤ちゃんの脳が大きく変化している真っ最中なのだと知っていたら、泣いてむずがる赤ちゃんを応援したい気持ちにもなり、心に余裕を持つことができたかもしれません。

夜泣きがある上に、日中も困った状態になっていたら

子どもが夜に眠れない状態が続いている上に、

  • 日中に眠たそうであったり、
  • 活発ではなかったり、
  • 機嫌が悪かったり、
  • 呼びかけてもぼーっとしていたり、
  • 遊びに集中できなかったり

といった様子が見られ、育てにくさを感じる状態であれば、小児科の医師に相談しましょう。

夜になかなか眠れない、日中も困った状態にある…というのは、子どもにとっても親にとってもつらいものです。寄り添ってくれる第三者がいると心強いですね。迷わず周りに助けを求めましょう。

夜泣きに役立つ対策〜毎日のリズム〜

夜に何度も泣く赤ちゃん。「赤ちゃんは今まさに発達しているところなのだ」と知ったとしても、「こんなに夜に泣いていて、赤ちゃんは睡眠不足にならないのかな?」「もうちょっとまとめて寝てくれると良いんだけど・・・」などなど、不安や悩みは尽きませんね。

「赤ちゃんの眠りを育てる」ため、毎日の生活の中でどんなことに気をつけたら良いのか、見直した方が良いことはあるのか……。赤ちゃんの“夜泣き”に役立つポイントをご紹介します。
生活リズムをつけましょう・見直しましょう

生活リズムをつけましょう・見直しましょう

昼に活発に活動し(遊び)、夜にちゃんと眠れるようになるには、赤ちゃんの生活リズムをつけていく毎日のルーティンが大切です。

自律神経やホルモン分泌、体温や血圧などに関わるリズムは、「体内時計」によってつくられています。その体内時計をきちんと働かせるのに必要なのが「生活リズム」です。

そして、生活リズムを整えるのに必要なのが、太陽の光や、食事、日中の活動(運動や遊びなど)などです日中は明るくてにぎやかな環境、夜は暗くて静かな環境を根気よく維持していくと、少しずつリズムが整っていき、昼と夜の明暗のリズムがついてくるのですね。

起きる・寝る・食事・入浴などは、適切なタイミングを定め、毎日だいたい同じぐらいの時刻にするということを意識して、毎日の生活リズムをつけていきましょう。そして、「親子で毎日ぐっすり睡眠!」を目指しましょう。

月齢別の夜泣き対策〜生活リズムを身につけ、赤ちゃんの眠る力を育てよう〜

月齢別に意識したいポイントを紹介します。
月齢別の夜泣き対策〜生活リズムを身につけ、赤ちゃんの眠る力を育てよう〜

0〜1か月の赤ちゃん〜昼夜の環境づくり〜

  • 昼(7時〜19時が目安)は、明るく、話し声や生活音が聞こえてくる環境で過ごさせる
  • 夜(19時〜翌朝7時が目安)は、暗くて静かな環境を作る
  • 授乳やおむつ替えの時、昼は赤ちゃんに語りかけながら、夜は暗いなかで静かに手短に行う
  • 夜に寝るための、安全で快適なスペース(寝床)を用意する

生まれたばかりの赤ちゃんは、胃が小さく、「食べる力」も十分に育っていません。そのためすぐに空腹になって目覚め、昼夜問わず何度も授乳することになります。産後2か月ぐらいまでは特別な時期だということを家族みんなで共有し、ママひとりで頑張らせないようにしましょう。

夜の眠りのための、安全で快適な環境とは?

夜の眠りのための安全で快適な環境にするにはどんなことに気をつけたら良いのか、ポイントを紹介します。

安全なスペースにする

  • 固めの敷布団やマットを使用する
  • 掛け布団は軽くて、子どもの力で跳ねのけられるものに
  • 枕は使用しない
  • よだれかけは外す
  • 子どもの体にものが落ちたり倒れたりしない場所に

暑くないか確認する

  • 着せすぎていないか
  • 掛け布団をかけすぎていないか

赤ちゃんの背中に手を入れてみて汗ばんでいるようなら、着せ過ぎ・かけすぎの傾向があるので注意しましょう。
暑すぎると寝付きが悪くなります。

光が漏れて入ってきていないか確認する

光に敏感な子もいます。特に夏場の早朝に早く目が覚めてしまい、寝不足になっているようなら、カーテンを遮光カーテンにするなど工夫してみましょう。
生後1〜2か月の赤ちゃん〜起きる時刻を決め、昼夜のメリハリを〜

生後1〜2か月の赤ちゃん〜起きる時刻を決め、昼夜のメリハリを〜

  • 昼・夜の適切な過ごし方を続ける(0〜1か月の過ごし方を参考に)
  • 1か月健診が済んだら、朝起きる時刻を決める

起きたら、おむつを替えて寝床を離れ、明るい部屋で朝の授乳をしましょう。
生後3〜5か月の赤ちゃん〜眠る前の決まり事〜

生後3〜5か月の赤ちゃん〜眠る前の決まり事〜

  • 昼・夜の適切な過ごし方を続ける(0〜1か月の過ごし方を参考に)
  • 10〜11時間の夜間睡眠がとれるように、就寝時刻を決める
  • 入浴の時刻は、遅くとも寝る時刻の2時間前までに済ませる
  • 眠る前の決まり事を始める
  • 寝入ってからは夜間授乳が必要以上に増えないように注意し、眠りが浅くなっても2〜5分間程度はそっと見守るだけにする

眠る前の決まり事は、「寝る前に寝室以外の場所でしっかり授乳させる」ということだけでも、まずは大丈夫。「これから寝室に行って、寝るんだな」ということを赤ちゃんが覚えられるようにしていきましょう。
生後6〜9か月の赤ちゃん〜「寝言泣き」かな?〜

生後6〜9か月の赤ちゃん〜「寝言泣き」かな?〜

  • 昼・夜の適切な過ごし方を続ける(これまでの過ごし方を参考に)
  • 離乳食は、子どものペースに合わせて少しずつ進める
  • 夜間に途中で起きるたびに授乳をして眠らせることは避ける

離乳食が始まり、昼間の授乳もしっかり飲めているならば、夜間の授乳は1回で済むようになってきます。
夜に目が覚めるのは空腹が原因ではないことが多いので、2〜5分間はそっと見守るだけにしましょう。赤ちゃんが自分で気持ちの整理をつけて、ひとりで眠れるようになるよう、「夜に眠り続ける力」を育ててあげましょう。
1歳になる頃からの子ども

1歳になる頃からの子ども

起きる時刻や寝る時刻、1日3回の離乳食や食事の時刻、入浴の時刻(寝る時刻の2時間前までに)を定め、ズレは1時間以内におさめられるように、周りの大人たちで協力し合いましょう。

昼間は、季節や気候に合わせて、そして、赤ちゃんの月齢や年齢に合わせて、適度に外に出る(外で遊ぶ)機会をつくりましょう

カフェインは夜の睡眠を妨げてしまうので、ココア、チョコレートなどカフェインが含まれているものは3歳までは避け、4歳以降もできるだけ少なくして夕方以降は避けましょう。

そのほかに気をつけたいこと

どの月齢・年齢でも、夜の時間帯は、LEDの白色の照明や、スマホやタブレット・テレビなどの明るい光を見せないことも意識しましょう。明るすぎる光は、眠りにつくための体内時計の働きを邪魔してしまうことにつながります。夜間の照明はオレンジ色に切り替えるなどして、明るすぎない夜をつくることが大切です。

眠れない理由として、急性の病気が疑われるような時、たとえば、

  • 不機嫌だったり、
  • 母乳やミルクをのむ力が弱かったり、
  • 食欲がなかったり、
  • 呼吸が苦しそうだったり、
  • 熱があったり

などして眠れない時には、すぐに小児科の医師に相談しましょう。

まとめ〜協力して、赤ちゃんの眠る力を育てていきましょう〜

細切れ睡眠に慣れていない大人にとっては、夜に起こされてしまうのはつらいものがありますが、赤ちゃんの体と脳は今この瞬間に大きく発達・変化していることを意識できると、赤ちゃんを応援したい気持ちにもなりますね。

赤ちゃんの「食べる力(飲む力)」がつき、生活リズムがついて「夜に眠り続ける力」「昼に起き続ける力」が育っていくと、親子でぐっすり眠れるようになる日が増えていきます。

ですが、赤ちゃんの生活リズムをつけていくのは、ひとりだけの親では難しいものです。一緒に過ごす家族で協力し合うことはとても大切なことです。
苦しい状況、辛い気持ちも、誰かとシェアできると心が軽くなります。パートナーと協力しあったり、職場や周りの人にも協力を頼んだりと、周りに頼り、たくさん助けてもらいながら育んでいきましょう。

  • 今回の記事は『夜泣きが止まる本 子どもも親も毎日ぐっすり眠れる!』(菊池清著/風鳴舎)を参考にしました。この本では、赤ちゃんの体と脳のメカニズムや、親の関わり方などについて、あたたかな筆致で詳しく紹介されています。赤ちゃんと向き合うときの「根っこ」の部分が理解でき、学びが多い本です。
  • 著者 菊池清

復習クイズに挑戦!

Q.生活リズムを整えるのに必要なのは?

① 太陽の光
②食事(授乳)
③運動(遊び)
④ 1〜3の全て

正解は ④
自律神経、ホルモン分泌、睡眠などさまざまな生理現象は「体内時計」によって調整されていますが、その「体内時計」をきちんと働かせるのに必要なのが「生活リズム」です。
「生活リズム」を整えるのに必要なのが、
①太陽の光
②食事(授乳)
③運動(遊び)。
毎朝だいたい同じ時刻(朝7時頃まで)に起こし、部屋のなかに太陽の光を入れましょう。日中は外に散歩につれていく、体や頭を使う遊びを一緒にするなど、活発に過ごすことが大切です。夜は暗く寝やすい環境にします。「毎日同じ時間にする」というのが大事なことです。これを根気よく続けていると、夜に長く寝られるようになるので、パパやママも楽になることでしょう。(LINEで1日1問育児クイズパパ力検定より出題)

育児に役立つ知識をクイズで楽しく学ぶ

LINEで1日1問、0〜1歳半頃の育児に役立つ知識(発達やお世話、対応の仕方、事故予防・救命法・家庭での応急処置など)を専門家監修のクイズで提供している「育児クイズパパ力検定」。

育児クイズパパ力検定の「子育て仙人」こと、むささびのむさじぃ(育児クイズパパ力検定オリジナルキャラクター)から、およそ1年に渡ってコツコツ出題します。ぜひ挑戦してみてください。
https://mamasachi.jp/service/paparyokukentei/

「育児クイズパパ力検定」では、赤ちゃんの発達やお世話の仕方のほか、いざという時に役立つ内容(事故予防、家庭での応急処置、救命法など)のクイズを、1日1問お届けしています。
気軽に楽しくクイズにチャレンジして、育児に役立つ知識を知らず知らずのうちに身につけてしまいましょう!

「育児クイズパパ力検定」のクイズの一部

• 赤ちゃんの手足が「冷やっ」としていたら、室内であっても靴下を履かせたほうが良い。◯ or ✕?
• 熱が上がりきったら、布団をたくさんかけるなどして温め、発汗させたほうがよい。◯ or ✕?
• 119番通報では、自分から、できるだけ多くの情報を伝えたほうがよい。◯ or ✕?

上記のクイズ、あなたはわかりますか?
育児クイズパパ力検定では、こういった「知っておいた方がいい知識」をクイズ形式で学べます。LINEで手軽に学べるので、楽しく取り入れてくださいね。

この記事のライター

高橋 幸恵

高橋 幸恵

【株式会社Mama’s Sachi代表】
著書『ふたりの子育てがもっと楽しくなる パパのための育児クイズ115』
専門家監修の、LINEで1日1問「育児クイズパパ力検定」を開発・運営。新生児から1歳半くらいまでの育児や救命法・事故予防などの知識を毎日1日1問クイズ形式で配信しています。サービスを制作しながら得た気づきや、自身の子育て経験などを踏まえ、パパさんママさんがほっと一息つけたり、「自分たちらしい子育て」を考えるヒントになるような投稿をしていきたいと思っています!