妊娠したことが分かると、親戚に双子がいる人や双子を望んでいる人は、「双子はいつ分かるのか」と気になるでしょう。
双子の妊娠が判別できる時期は、双子の状況によって異なります。単胎妊娠以上に高い安静度が求められ、健診の頻度が高い双子妊娠。早めに双子であることがわかれば、より周囲の理解・協力を得やすくなります。
この記事では、具体的にいつ双子の妊娠が分かるのか、双子妊娠の兆候やその後の対処方法までをまとめました。定期健診で早めの診断を受け、安全・安心な出産ができる環境を整えましょう。
双子の妊娠が分かるのはいつ?

双子の妊娠が分かる時期は、双子の状況によって異なります。妊娠しているか否かは一般的に妊娠4∼5週で分かりますが、双子は妊娠中のリスクを管理する必要があるため、膜性診断を行うためです。
一卵性と二卵性でいつ分かるのかは微妙に違う
ひとことで双子といっても、一卵性と二卵性でいつ分かるのかは微妙に違います。二卵性なら妊娠4∼5週で分かりますが、一卵性なら6~7週とやや遅れる傾向です。
二卵性の双子は超音波検査で胎嚢(赤ちゃんを包む部屋)が2つ確認できることから、多くの場合妊娠と同時に分かります。しかし一卵性の双子は、1つの胎嚢に2つの胎芽(妊娠10週以前の胎児)が確認されてはじめて双子だと判明します。
胎芽が確認できるようになるのが妊娠7週目と言われているため、一卵性の双子の方が判別がやや遅れるのです。
羊膜と胎盤の数から行う膜性診断の時期
双子であることが明らかになると、定期健診のほかに「膜性診断」を行います。膜性診断は妊娠10週~14週くらいで行われ、双子の羊膜と胎盤の数を判別して妊娠中のリスク管理に役立てます。
羊膜と胎盤がそれぞれ2つずつある2絨毛膜2羊膜双胎は、比較的栄養供給のバランスを保つことが可能です。胎盤が1つの1絨毛膜2羊膜双胎、1絨毛膜1羊膜双胎においては栄養供給バランスが乱れることや、場合によって手術が必要になることも。
膜性診断によってリスクをきちんと理解できるため、妊娠生活において注意すべき場面、健診の頻度や管理入院の時期など計画が立てやすくなります。
双子は妊婦健診で判明する
医師の指示通り受診していれば、一卵性でも妊娠6~7週までに双子かどうかが判明します。妊娠初期は1~2週間に1度の妊婦健診が一般的であるため、双子かどうかはこのタイミングでわかります。
私の場合には、5週目で妊娠を確認できましたが、その時点では双子という診断には至りませんでした。再度2週間後の健診で双子であることが分かり、準備や報告に追われることになったのです。
単胎妊娠の場合、妊婦健診は最大4週間程度間が空くことがあります。しかし双子の場合には安定期がなく、病院側も状況を把握しておきたいため、2週間に一度の健診を促しています。
双子の妊娠の兆候は?

妊娠の兆候は月経が来なかったり、悪阻症状があったりと気付く人も多いでしょう。双子の場合には自身で正確な判断をすることは困難ですが、以下の症状を伴うことがあります。いずれにしても妊娠が疑われる場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
悪阻が重い人もいる
双子を妊娠した場合、悪阻が重いという人もいます。悪阻とは月経予定日から1週間程度経過した頃に始まる、吐き気や胸の張りなどの症状です。双子の場合、2人分の胎児に血液を送る必要があるため、心臓や血圧に負担がかかることは確かです。
私自身が双子を妊娠した時には、早い時期から悪阻症状があり、3か月前後はまともな食事ができない日が続きました。夜中でも症状があったため、気が付くとトイレで寝ていたということも。
その一方で、まったく症状がなくいつも通りに仕事をしていたという双子ママもいます。悪阻には個人差が大きく、悪阻の有無で双子かどうかの判断はつきません。しかし悪阻が重いという人がいるのも事実です。
体重が増えやすい
双子妊娠の兆候として、体重が増えやすいという人もいます。体重が増える以外にも浮腫みやすくなるという人も。双子妊娠は、赤ちゃん2人分の体重だけではなく、羊水の量も単胎妊娠より多くなります。母体には、単胎妊娠より1日300kcal余分にエネルギーが必要です。
よって体重が増えるからといって自分を責める必要はありませんが、塩分の取り過ぎや貧血には十分注意しましょう。インスタント食品や外食を控え、野菜や魚、豆類などをバランスよく摂る必要があります。
また浮腫むからと、水分制限をすることはおすすめしません。便秘や血栓症を引き起こすことがあるからです。浮腫んでも血圧上昇や尿蛋白が出るなどの症状がない限りは心配ありませんが、不安な時には医療機関に相談しましょう。
経腟超音波なら双子かどうかがわかる
医療機関を受診し経腟超音波検査を受ければ、双子かどうかが分かります。妊娠初期は双子かどうかを確認できないことがあるため、妊娠6~7週の時期がベターです。
経腟超音波検査では、プローブとよばれる超音波発信装置を膣に直接挿入します。膣に挿入することによって、より胎児に近い位置で子宮を観察することができるのです。経腟超音波検査で胎嚢や胎芽、心拍を2つずつ確認できれば、双子という診断がされます。
超音波検査というと腹部超音波検査を想像する人が多いと思いますが、妊娠11~12週までは経腟超音波検査が行われます。お腹が大きくなると腹部超音波検査を用いるようになりますが、状況によっては経腟超音波検査を併用することがあります。
働くママへ:双子の妊娠が分かったら

双子の妊娠が分かった場合には、なるべく早く公にすることをおすすめします。双子は、ハイリスク妊娠のためトラブルも否定できません。頼む側も頼まれる側も、お互い気持ちよく仕事ができる環境を目指しましょう。
注意!双子の産前休業は単胎妊娠と時期が違う
双子の産前休業は出産予定日の14週前から取得が可能で、労働基準法第65条に記載されています。単胎妊娠の場合は出産予定日の6週前から取得となっているため、念のため担当部署に確認をしておきましょう。
産前休業は、本人の申請で取得できる任意の措置です。法的には、妊娠の経過が順調でもう少し働きたいという場合には就業が可能ですが、双子はハイリスク妊娠。無理せず早めの休業を検討しましょう。
なお産後休業においては、単胎妊娠と同じ8週間です。(本人の請求と、医師の許可があれば産後6週間~就業可)双子の出産が2日以上に渡った場合には、2人目を出産した日を出産日として数えます。
頻繁な妊婦健診に備えて早めに職場に報告する
双子の妊娠が分かったら、頻繁な妊婦健診に備えて早めに職場に報告することをおすすめします。健診時だけではなく、双子は重い悪阻や急激な体重増加など、急な体調不良に陥ることもあるからです。
私自身は、双子の妊娠が分かった翌日に職場に報告を行いました。その後、重い悪阻、双子の精密検査のための受診など仕事を休むことが多くなったため、早めの報告をしていて良かったと思います。
お願いする立場は心苦しくもありますが、協力してもらったことは「自分が万全になった時」にお返しすればよいだけのこと。気持ちを切り替えて、この時ばかりは周囲に頼りましょう。
安心・安静がとれる環境を心がける
職場によっては、妊娠を報告すると仕事内容を見直してもらえることがあります。早朝や空腹時の悪阻症状がある場合には、時差通勤が認められたり、補食の時間が認められたりすることがあります。
私自身は病院勤務だったため比較的容易に周囲の理解が得られ、残業を外してもらったり、重い機器を扱う業務をかわってもらったりしました。悪阻が重い時期には、仕事を休んだ経験もあります。
自分が出勤できるときには、同僚が休憩をとれるよう配慮したり、事務作業に徹したりして、安静を心がけながらなんとか産前休暇までまっとうすることができました。
双子かどうかがわかれば早めの対策がとれる

双子の妊娠がいつ分かるのは赤ちゃんの状況次第です。妊娠の兆候があれば、早めに受診しましょう。
双子妊娠が分かったら、職場に報告しておくことも忘れずに。仕事と同様、「報告・連絡・相談」をすることを心がけましょう。双子妊娠がハイリスク妊娠である事を理解してもらえれば、仕事内容や環境に配慮してくれることがあります。
気遣いを受けた時には、きちんとお礼を言うことも忘れずに。普段からクリーンな人間関係を築いて、妊娠中は安心・安全な環境作りに努めましょう。
【参考】
- 厚生労働省委託 母性健康管理サイト:妊娠・出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ
- 労働基準法:第65条 労働基準法における母性保護規定
- 第 71 回日本産科婦人科学会学術集会:専攻医教育プログラム2 『双胎妊娠の診断と管理』
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