赤ちゃんのハイハイは個性が出る!ハイハイのメリットと促し方
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赤ちゃんの成長は、その時しか見ることができないかわいい仕草や瞬間があるため、毎日楽しみですよね。
しかし「育児書通りにいかない」「発達のスピードが遅い」と不安になることもあるでしょう。
赤ちゃんはハイハイの時期になると、発達のほかにも身体の大きさや特徴が顕著になってきます。赤ちゃんの個性に沿ったサポートができれば、より日々の成長を楽しむことができますよ。
ここでは、ハイハイの時期や期間、ハイハイのメリットと促し方をご紹介します。
筆者の経験を踏まえて、ハイハイしない赤ちゃんとその後の成長についても触れます。どのように対処したら良いかの参考にしてください。
Table of Contents
赤ちゃんのハイハイ
赤ちゃんのハイハイは、いつ、どのような過程を辿ってできるようになるのでしょう。赤ちゃんによって発達のスピードや状況は千差万別ですが、一般的な時期や期間、過程を見ていきましょう。
赤ちゃんのハイハイはいつから始まる?
赤ちゃんのハイハイは、生後7~9ヶ月頃はじまるのが一般的です。早い子では生後5~6ヶ月でハイハイを始め、生後10ヶ月以降になってようやく始める子もいます。
ハイハイに必要な筋肉は両手両足だけではありません。首や肩の筋肉、背筋・腹筋・手指の筋肉などを使います。
よって全身の筋力がある程度発達してからできるようになるため、ハイハイができる時期は、筋力の発達具合が大きく影響しているのです。
厚生労働省の調査結果によると、約90%の赤ちゃんが生後9~10ヶ月でハイハイが可能になるとしています。
赤ちゃんがハイハイをする期間は?
ハイハイは、よちよち歩きができるようになる生後1歳ころまで続きます。ハイハイをする時期や歩き出す時期は赤ちゃんによって差がありますが、平均継続期間は 4.4±2.7ヶ月というデータがあります。
ハイハイ期間が長い・短いによって「股関節が強くなる」「運動神経が良くなる」などさまざまな説がありますが、現状では科学的根拠はありません。
しっかりした歩行ができるまでは、急いでいる時や疲れている時などハイハイをすることもあるでしょう。赤ちゃんの発達に沿った行動と捉えて、長い目でハイハイ期間を見守りましょう。
ハイハイが完成するまでの流れ
ハイハイが完成するまでは、以下の流れを辿ります。あくまでも月齢は目安と考え、発達の過程を見ていきましょう。
- 生後3ヶ月頃:首がすわる。
- 生後4~6ヶ月頃:寝返りをうつ。
- 生後5~7ヶ月頃:お座りができる。なかには寝返りの過程を経ずにお座りができる子も。
- 生後6~7ヶ月頃:お腹と足を床につけて移動する「ずりばい」をする。お座りの過程を経ず「ずりばい」をする子も。
- 生後7~9ヶ月頃:手のひらと膝で身体を支えられるハイハイが完成。
ハイハイができるようになると、2つ以上のことを同時にできる協応動作が発達します。目と手、手と足などを使いバランスとったり姿勢を維持したりする能力が養われます。
ハイハイには前兆がみられる場合も
赤ちゃんによっては、ハイハイに前兆が見られることがあります。しかしハイハイ期を経ずにつかまり立ちをしたり、立ったりする子もいるため前兆に神経質になる必要はありません。
ハイハイの前兆行動として、座っている最中にゆらゆら動きが出る、頭を床につけおしりを持ち上げるなどの動作があります。
前兆をキャッチしたい場合には、一人座りの時、うつ伏せの時に観察すると良いでしょう。筋肉の発達を観察することができます。
ハイハイは赤ちゃんにメリットがある
ハイハイは赤ちゃんにとってさまざまなメリットがあります。運動面だけではなく、生活面、精神面からもチェックしてみましょう。
全身運動ができる
ハイハイは赤ちゃんの全身運動に役立ちます。手足の筋肉だけではなく、体幹や握力も鍛えられ、骨格の発達にも効果的です。
またハイハイによってバランス感覚が得られるため、一人歩きをするようになってからもスムーズな動作ができるでしょう。
全身運動によって血流が増えるため、心肺機能を高めることもできます。移動により環境が変わるため、視覚・聴覚を刺激され、脳が活発になることも期待できます。
赤ちゃんの満足感を満たすことができる
ハイハイは赤ちゃんの満足感を満たすことができます。自分の意思で移動できるため、これまで癇癪を起こしていた赤ちゃんでも、落ち着いた行動をとれる場面が出てきます。
大好きなパパママの近くに行きたい、おもちゃを取りに行きたい。これらの欲求が満たされるため、大きな満足感が得られるのです。
自分が移動できることに自信を持つと、さまざまな事に興味を示します。自我が芽生えたりコミュニケーションを取ったりするきっかけにもなるため、ハイハイをさせて世界を広げてあげましょう。
食事・睡眠が規則的になる
ハイハイをすることで、食事・睡眠が規則的になります。運動をすればお腹が空き、お腹が満たされれば眠くなる。このサイクルを毎日繰り返すことで、段々と生活にリズムがついてくるのです。
離乳食の量が増える赤ちゃんもいるため、運動量・成長に合わせて食事・水分量を見直しても良いでしょう。
パパママの時間も少しずつ取れるようになってくるため、外出がしやすくなります。赤ちゃんの機嫌の良し悪しも分かりやすくなりますよ。
ハイハイの促し方
ハイハイは必ず成長に必要なものではありません。しかし赤ちゃんがハイハイをしたそうな素振りがある、運動のために取り入れたいという場合には、赤ちゃんの機嫌を伺いながら以下の方法を試してみましょう。
前進する意欲を持たせる
ハイハイを促すためには、赤ちゃんに前進する意欲を持たせましょう。赤ちゃん自身が「移動したい」という気持ちを持てば、自分ができる方法を試すことがあります。
何度も試すうちにハイハイができるようになる、ということはよくあることです。パパママがハイハイのお手本を見せても良いでしょう。
赤ちゃんが好きなお菓子やおもちゃを、手が届くか届かないかの範囲に置くのも良い方法です。少しずつ遠ざけると、対象物に向かってハイハイすることがあります。
手遊びが役に立つことも
ハイハイに手遊びが役に立つことがあります。ハイハイを促そうとすると、身体の発達に目を向けてしまうことが一般的です。
しかしハイハイは手をパーにして進みます。グーパーを楽しむ手遊びは、手指の発達を促すため、ハイハイの練習になるのです。
転びそうになった時に手が前に出るパラシュート反射も、グーパーの動きが関わってきます。
手遊びによって将来的に自分を防御すること以外にも、パパママとの絆を深めることができます。すると「パパママの近くに行きたい」という気持ちが刺激され、ハイハイを促すことにつながりますよ。
危険対策を講じて環境を整えよう
赤ちゃんのハイハイを促すためには、危険対策を講じて環境を整えましょう。赤ちゃんは、大人が予想をしない動きをすることがあるからです。
整った環境があれば赤ちゃんは思い通りに移動できるため、自発的にハイハイしてくれることがありますよ。
床掃除をする
赤ちゃんがハイハイしそうな場所は、床掃除をしておきましょう。ハイハイする赤ちゃんの頭の高さは、床から30㎝程度でゴミや埃が舞いやすい環境です。
こまめに掃除をして、赤ちゃんがゴミや埃を吸い込まないようにしましょう。さらにアクセサリー類やたばこなど、床に落ちていないかチェックします。
赤ちゃんがハイハイをする時に対処すればよいと思っていても、一度ハイハイを覚えた赤ちゃんは、大人の想像以上のスピードで対象物に向かうことがあるため、注意が必要です。
家具・家電に対策を講じる
赤ちゃんがハイハイしそうな場所にある家具・家電に対策を講じましょう。家具・家電は、普段とは違う方向から力が加わると、落下したり倒れてきたりすることも考えられます。
転倒防止の対策はもちろん、家具・家電の角をクッション材で包む、コンセントカバーを取り付けるなどの対策が有効です。
キッチンや階段など危険が多い場所にはベビーゲートやフェンスを設置しても良いでしょう。
安全を確保することは、赤ちゃんをハイハイに誘う環境が整うだけではなく、万が一に備えた大人の心構えも整います。
赤ちゃんがハイハイしない原因と対処法
生後9ヶ月を過ぎてもハイハイをしない赤ちゃんがいます。主な原因は十分な筋力が備わっていない、赤ちゃん自身にハイハイする意欲がないなどです。
不自然な動きをする場合には受診が必要ですが、以下のような発達例もあります。
ケース1:ハイハイせずに立つことがある
ハイハイをせずに立ってしまう赤ちゃんもいます。ハイハイは誰もが通る道ではありません。
ハイハイをしない赤ちゃんは昔から存在し、成長の過程で問題が生じるわけでもないため、神経質になる必要はないでしょう。
「ハイハイをしないとパラシュート反射が鍛えられないため、怪我をしやすい」という話もありますが、科学的根拠はありません。
よってハイハイを強要する必要はなく、赤ちゃんそれぞれの発達を見守れば良いのです。
パラシュート反応
防御的に四肢を伸展して頭部を保護したり,支持して姿勢を安定させようと働く反応.抱き上げた子どもの体を支えて下方に落下させる,もしくは座位で前方,側方,後方に倒すと,両手を伸ばし,手を開いて体を支える
ケース2:ハイハイせずにおしり歩きをする子も
ハイハイをせずに、おしり歩きをする子も存在します。我が子の一人が、まさにこの例でした。
お座りの姿勢を保って前進する様子は、シャフリング・ベビーと呼ばれ、40人に1人の確率と言われています。
シャッフリングベビーは、歩き始める時期も遅れる傾向です。我が子の場合には、2歳近くまでおしり歩きをしていました。
しかし小学生になった現在、普通の子と同様に歩いて小学校に通っています。長い目で発達を見守ると運動はやや苦手ですが、それは子どもの個性であり「正常な子」と変わりありません。
シャフリング・ベビー
おすわりの姿勢のまま前進する子どものことを、シャッフラー(シャフリング・ベビー)といいます。シャッフルとは、お尻をつけたまま前にずって移動する運動のことで、そこからそう呼ばれるようになりました。
ケース3:後追いするようになった
ハイハイは上手にできるものの、後追いが辛い。赤ちゃんによっては2歳前後まで続くため、パパママにも精神的負担がかかることがあります。
赤ちゃんは、パパママが視界から消えてしまうと「置いて行かれた」と感じ、後を追うのです。
こまめに声をかけたり、可能な限りスキンシップを取ったりして赤ちゃんの気持ちを満たしてあげましょう。
大人が距離を置こうと思うと、後追いは悪化することがありますよ。
赤ちゃんの個性に寄り添ってハイハイ時期を楽しもう
赤ちゃんのハイハイは、生後7~9ヶ月頃はじまります。ハイハイは赤ちゃんにとって全身運動になる、食事・睡眠が規則的になるなどのメリットがありますが、必ず通る道ではありません。
赤ちゃんは、前進する意欲を持たせたり、手遊びでグーパーの動きを取り入れたりすると、ハイハイをすることがあります。
赤ちゃんによっては、ハイハイせずに立ったり、おしり歩きをしたりする子もいるため、個性に寄り添ってサポートしてあげましょう。
パパママのストレスを溜めずに、可愛い時期を楽しんでくださいね。
約90%の赤ちゃんが生後9~10ヶ月でハイハイが可能になる
厚生労働省:乳幼児身体発育に関する調査
ハイハイ時期は平均継続期間は 4.4±2.7ヶ月
J-STAGE:乳児のはいはいに関する調査報告
パラシュート反射に関する情報
株式会社南江堂リハビリテーションテキスト:姿勢反射の一覧
シャフリング・ベビーに関する記事
Dr. 榊原洋一の部屋 第1回 ハイハイしない子ども
この記事のライター
青空 太陽
【資格:病院勤務 / 診療放射線技師】
小学生の双子を育てながら、Webライターとして活動中。
双子の乳幼児期の度重なる入院・手術の経験、自身が持つ医療系国家資格を活かして、
多胎児の育児・障害児の育児についても分かりやすく発信できたらと思っています!
最近はまっていることは、調理家電をフル活用した料理とゲーム、家庭菜園。
子供達も野菜同様、まっすぐ素直に味わい深く育って欲しいと願う今日この頃です。