水道水でミルク作りは安全?正しい手順と沸騰の重要性を紹介

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赤ちゃんのミルク作りにおいて、「水道水を使っても平気なの?」と心配されている方は多いのではないでしょうか。水道水は蛇口をひねるだけで手軽に利用できるので、ミルク作りに使用できれば魅力的ですね。

本記事では、日本の水道水の安全性や沸騰の必要性、ミルクの正しい作り方などについて詳しく紹介します。赤ちゃんのミルク作りでお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

水道水を使ったミルク作りの安全性について

ここでは、水道水を使用したミルク作りに関する安全性に焦点を当て、3つのポイントを詳しく紹介します。

  • 日本の水道水は高い安全性を誇る
  • ミルク作りは水道水が推奨されている
  • 水道水には「トリハロメタン」が含まれている

水道水の利用を検討している方は、ぜひチェックしてください。

日本の水道水は高い安全性を誇る

日本の水道水は厚生労働省令に基づいた、厳格な基準に沿って管理されています。そのため、水質は非常に高く、世界でも安全性の高い水道水の1つです。

実際、水道水をそのまま飲める国は、日本を入れて11か国とされています。地域ごとに配置された浄水場では、水道法に基づいた厳しい水質基準に合わせて、ろ過や消毒などの処理が行われています。

以下は、具体的な水質基準の一部です。

大腸菌 検出されないこと
一般細菌 1mlの検水で形成される集落数が100以下
水銀及びその化合物 水銀の量に関して、0.0005mg/L以下

これらの項目を含む総計51項目が水質基準として設けられ、日々「雑菌などが入り込んでいないか」などの検査が行われています。その結果、赤ちゃんも安心して水道水を飲むことができます。

それでもなお、水道水を避けて、ミネラルウォーターやウォーターサーバーの水を好んでいる方は多いでしょう。水道水に抵抗がある方は、後述する「湯さまし」の利用がおすすめです。

参考文献:令和4年版 日本の水資源の現況(国土交通省

ミルク作りは水道水の利用が推奨されている

日本国内の各メーカーから販売されている粉ミルクやミルクキューブは、日本の水道水に溶かすことを考えて作られています。そのため、基本的には水道水を使用して赤ちゃんのミルクを作ることができます。

しかし、アパートやマンションなど供給された水道水を一度貯水タンクなどに貯めて利用する場合は、時折水質が悪化する可能性があります。水質の安全性が心配な場合は、貯水タンクの定期的なメンテナンスがルール通りに行われているか確認しておきましょう。

不安が残る場合は施設管理の担当者に相談したり、一般的な水質検査を依頼してみるのもおすすめです。

水道水には「トリハロメタン」が含まれている

水道水には、「トリハロメタン」という物質が含まれています。「トリハロメタン」とは、浄水場で水を消毒する工程で生成される物質であり、その一部は人体に対して発がん性などの有害性が指摘されています。

しかし、水道水に含まれる全てのトリハロメタンの量は、水道法の水質基準値以下であり、健康への影響が心配されるほどの濃度ではありません。私たちが使用する水道水の水質基準は、生涯にわたり摂取しても健康に影響が生じない水準をもとに設定されています。

つまり、水道水中のトリハロメタンが基準値以下である限り、飲用水としても安心して利用できます。ただし、トリハロメタンは有害な物質であるため、気になる方は水道水を沸騰させてから利用すると安心です。

参考文献:東京都水道局

水道水を活用したミルク作りの手順

ミルク作りにおいて水道水を安全に活用するためには、適切な手順が大事です。ここでは、以下3ステップでミルクの作り方を紹介します。

  • 水道水を10分以上沸騰させる
  • 調乳は70℃以上のお湯を使う
  • 人肌に冷まして与える

粉ミルクやミルクキューブを使用している方は、ぜひ参考にしてください。

水道水を10分以上沸騰させる

水道水でミルクを作る際は、鍋やヤカンを使い最低でも10分以上沸騰させることが大事です。沸騰させることで、残留塩素やトリハロメタンなどの不純物をある程度取り除けます。

沸騰の際に注意が必要なのは、「トリハロメタンが沸騰後に増加する特性がある」という点です。そのため、沸騰後すぐに過熱を止めてしまうと、トリハロメタンが増えた状態で利用することになるので、沸騰時間は気を付けなければいけません。

また、水道水を沸騰させることで、塩素臭(カルキ)も軽減できます。塩素を蒸発させるためには、加熱の際に鍋やヤカンの蓋をしないことがポイントです。

調乳は70℃以上のお湯を使う

粉ミルクやミルクキューブを溶かす際には、沸騰後冷ましたお湯(70℃以上)を使いましょう。このポイントは、厚生労働省のガイドラインにも紹介されています。

70℃以上のお湯を使用する理由は、粉ミルクが無菌でないためです。腸炎や髄膜炎の原因となる「サカザキ菌」や、下痢や発熱を引き起こす「サルモネラ菌」が含まれている可能性があります。

そのため、70℃以上のお湯を使用し、赤ちゃんにとって有害な病原菌を殺菌しなければいけません。ただし、100℃以上の高温で調乳すると、熱に弱い栄養素のビタミンCなどが壊れる可能性があるため、沸騰後すぐではなく少し時間を置いてから調乳することが望ましいです。

人肌に冷まして与える

70℃以上のお湯でミルクを溶かしたあとは、人肌(36〜37℃ほど)の温度に冷ましてから与えましょう。ミルクの入った哺乳瓶をお水や氷水につけたり、流水にさらしたりして冷ましていきます。

哺乳瓶の外側についた水は、清潔なタオルなどで拭きとります。腕の内側に少量のミルクを垂らしてみて、授乳に適した人肌の温度であるか確認しましょう。

もし熱すぎる場合は、追加で冷ましてください。冷え過ぎた場合は、湯せんで温めれば赤ちゃんに飲ませることができます。

冷えたミルクを温める際、電子レンジを利用するのは避けましょう。ミルクが一部だけ熱くなり、赤ちゃんがやけどをする恐れがあるからです。

また、調乳後2時間以内に使用しなかったミルクは廃棄するのが基本です。赤ちゃんに安全で新鮮なミルクを与えるために、調乳後の時間に注意したいですね。

ミネラルウォーターでのミルクを作りは硬度に注意

ミネラルウォーターを使用することで、水道水でのミルク作りによる手間を軽減できます。特に、ミルク作りをする際は、「軟水」の水を選ぶことがポイントです。

軟水と硬水の主な違いは「硬度」にあります。硬度は、水1Lあたりのカルシウムやマグネシウムの含有量を指します。

濃度の高い硬水は口当たりが重く、苦みを感じることがありますが、濃度が低い軟水はまろやかでさっぱりとした風味が特徴です。世界保健機関(WHO)が定める基準によれば、硬度の区分は以下のとおりです。

水の種類 硬度
軟水 0~60 mg/L
中硬水 60~120 mg/L
硬水 120~180mg/L
非常な硬水 180mg/L以上

カルシウムやマグネシウムが多く含まれる硬水は、便秘解消などの効果が期待できます。しかし、赤ちゃんが摂取すると、肝臓に負担が掛かる可能性があります。

そのため、赤ちゃんに安心して与えられるのは、お腹にも優しい軟水です。硬水を避け、ミネラルウォーターでミルクを作る際は「軟水」の表記があるものを選びましょう

水道水でのミルク作りが不安・手間を感じる方はウォーターサーバーがおすすめ

ォーターサーバーは、赤ちゃんに優しい水が手軽に利用できるだけでなく、ミルク作りを効率的に行える子育て中の頼もしい味方です。ウォーターサーバーの温水は、一般的に80〜90度に設定されているため、そのまま調乳が可能で、ミルク作りの手間を軽減できます。

ウォーターサーバーを利用する際に考えられるメリットを、以下にまとめてみました。

  • 安全な水を赤ちゃんに与えられる
  • 煮沸の必要なしで時短が叶う
  • 離乳食の調理にも便利
  • ゴミの発生が少ない
  • 備蓄にもなる
  • 買い物への移動が不要

安心な水で手軽にミルクを作れるのは、大きなメリットです。デメリットとしては、場所を取ることが挙げられますが、十分なスペースがある場合はおすすめです。

また、チャイルドロックに対応しているウォーターサーバーは、事故やいたずらの防止に役立ち、赤ちゃんや子どもがいても安心して使用できます。操作ボタンが上部に配置されているタイプもあり、子どもの手が届かないように工夫されているので、気になる方はチェックしてみてください。

水道水を活用したミルク作りに関するQ&A


ここでは、水道水を活用したミルク作りに関するよくある質問をまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。

Q.浄水器を取り付けたら、トリハロメタンは完全に除去できますか?

A.メーカーや種類にもよりますが、浄水器を通しても残留塩素やトリハロメタンを完全に取り除くことは難しいとされています。しかし、私たちが使用する水道水の水質基準は、生涯にわたり摂取しても健康に影響が生じない水準をもとに設定されています。

トリハロメタンを除去するためには、10分以上沸騰させてから使用することが安心です。

Q.一度沸騰させた水道水が冷めた場合は、再利用してもいい?

A.冷めた沸騰水(水道水)はミルク作りには避けてください。沸騰により、雑菌を消毒するために入っている塩素(カルキ)が蒸発している可能性があるため、沸騰水の温度が下がると雑菌が増殖しやすくなります。

Q.電気ケトルや電気ポットで水道水を沸騰させた水を使用してもよい?

A.電気ケトルや電気ポットを使用した水道水は、ミルク作りには望ましくありません。塩素やトリハロメタンが完全に取り除かれず、残ってしまう可能性があるためです。

水道水を沸騰させる際は、やかんや鍋を使用するのがおすすめです。塩素を蒸発させるために、鍋やヤカンの蓋をせず加熱しましょう。

まとめ


日本の水道水は高い安全性を誇り、安心して利用できます。ミルク作りにおいても、日本では水道水が推奨されているので、粉ミルクやミルクキューブで作る際に利用可能です。

ただし、水道水には「トリハロメタン」という物質が含まれているため、ミルク作りに使用する際には最低でも10分以上沸騰させて除去することが大事です。ミネラルウォーターを選択する場合は、軟水を選んで使用しましょう。

赤ちゃんへの水道水の安全性に対する不安や、調乳時の沸騰が負担になる場合は、いつでも手軽に安全なお湯や水が得られる、ウォーターサーバーを利用してみるのもおすすめです。安全性だけなく、ママとパパの時間と気持ちの余裕を持てることで、子育てがより快適になるでしょう。

この記事のライター

田中しづる

田中しづる

【離乳食・幼児食コーディネーター / 主婦ライター】
未就学児2人の子育てをしている、田中しづると申します。 現在は上の子が保育園に通っている間に、自宅で赤ちゃんを見ながらWEBライターをしています。 とはいえ、育児と仕事を両立するのは大変で毎日あっという間に1日が過ぎております。 子育て中のママの悩みに寄り添いながら、役立つような情報を発信していきます!