赤ちゃんのズリバイは「重要だ」「脳の発達によい」と聞いたことはありませんか?しかし、ズリバイの効果や必要性、始めるタイミング、赤ちゃんがズリバイをしない理由などがわからず悩んでいる方も少なくないでしょう。
そこで今回は、ズリバイとハイハイの違いや始めるタイミング、ズリバイがもたらす効果、トレーニング方法などについてご紹介します。この記事を参考に、ズリバイについて知り、赤ちゃんの成長を楽しみましょう。
ズリバイとは
ズリバイとは、うつ伏せの形でおなかを床につけたまま、体を引きずりながら這うことです。赤ちゃんはズリバイに慣れると家の中を自由に動き回ります。
ズリバイは赤ちゃんが「移動したい」という強い気持ちの現れです。私は、自分の意思で移動する我が子を見て、感動したことを今でも覚えています。
それでは、ズリバイについて見ていきましょう。
ズリバイとハイハイの違い
ズリバイとハイハイの違いは、おなかが床についているかどうかです。ズリバイは、床におなかをつけていますが、ハイハイはおなかを浮かせ手のひらと腰、ひざで体を支えます。「ズリバイは上半身の筋力」「ハイハイは下半身の筋力」であり、使う筋肉も異なるのです。
ズリバイはいつから
ズリバイは、一般的に寝返りをする生後6ヵ月〜9ヵ月ごろから始めるケースが多いとされています。
しかし、赤ちゃんの発達には個人差があります。生後6カ月前にズリバイを始めたり、9ヵ月を超えても始めなかったりする赤ちゃんもいるのです。
中には、ズリバイやハイハイを飛ばして、次のステップのつかまり立ちやつたい歩きに進む赤ちゃんもいます。
ズリバイ前後の赤ちゃんの発達
赤ちゃんの成長には個人差がありますが、一般的には「寝返り、ズリバイ、お座り、ハイハイ、歩く」の順番で成長します。
発達の詳細は次の通りです。
1:寝返り
寝返りは赤ちゃんが初めて自力で移動する動きです。首がすわり、うつ伏せができる赤ちゃんに見られます。
ちなみに、首がすわるとは、うつ伏せの姿勢であごを持ち上げ左右に首を動かせる状態です。下半身が活発に動くようになり、脚や腰の動きが連動した際に寝返りをします。
2:ズリバイ
ズリバイはおなかを床につけたまま腕や脚の力を使って前後左右に移動する動きです。腰がすわる前でも見られます。
ズリバイを始めたばかりのころは前に進めなかったり、後ろに下がってしまったりなど思うように移動できません。慣れてくると、広範囲の移動ができるようになるでしょう。
3:お座り
お座りをすると、赤ちゃんは腰でバランスが取れるようになります。つまり、お座りはハイハイや歩くための大切なステップでもあるのです。お座りが安定したら次のステップである腰と脚を使った移動ができます。
4:ハイハイ
ハイハイはおなかを浮かせて手のひらと腰、ひざで体を支える動きです。ハイハイを始めると、やがて「高這い」というハイハイをします。高這いは、手のひらと腰、足の裏で体を支えながら移動するので、足の裏の感覚や運動能力を養えるのです。
5:歩く
赤ちゃんが1人で二足歩行をするまでにも段階があります。赤ちゃんが脚で体重を支えられるようになると、手で物を「つかむ」「つまむ」などの動きを始めます。手でつかむことに慣れると、「つかまり立ち」「つたい歩き」が始まります。それから、一人立ちや一人歩きをを始め、二足歩行の移動を体得するのです。
ズリバイがもたらす効果
ズリバイには、赤ちゃんの発達にどのような効果があるのでしょうか?ここでは、ズリバイの効果について解説します。
脳や精神的な発達
ズリバイをすることで、赤ちゃんの脳や精神面が発達します。視覚や聴覚、触覚などが刺激され脳が活性化するのです。
情緒の安定も期待できます。パパやママ、好きなおもちゃなど自分の行きたいところに移動できる喜びや満足感を得られるからです。赤ちゃんにとって初めての体験が増えるので、さまざまなことに興味を持つ意欲や自我を育むきっかけとなるのです。
運動能力・バランス感覚を育てる
ズリバイは、上半身を使うので腕や背筋、腹筋などの筋肉が鍛えられます。また、ズリバイをくり返し行うことで身に付くのが、体を手で支える動作や腰でバランスを取る感覚です。この経験により赤ちゃんが歩き出した際に、転んでもケガをしにくくなるでしょう。
体の機能面を育てる
ズリバイは全身運動です。そのため血流が増加し、心肺機能が高くなります。上半身を動かすと下半身も連動し、腰周辺から脚の筋肉が刺激されます。したがって、ハイハイへの移行がスムーズになるといえるでしょう。
上半身を手で支えるため、指や手への刺激が増えます。刺激が増えると「つかむ」「つまむ」など手の運動や強弱の感覚を体得しやすくなるとされています。
生活面の変化
赤ちゃんがズリバイを始めると、運動量が増えます。五感から得られる情報も増え、さまざまな刺激を受けるでしょう。そのため、以前よりも食欲や睡眠欲を感じるようになり、食事や睡眠を取る時間が規則的になります。
また、1人遊びをする時間も少しだけ増えるので、パパやママが赤ちゃんのお世話を直接する負担が軽くなるかもしれません。
ズリバイをしない理由や遅い理由

赤ちゃんの中には、成長の目安を過ぎてもズリバイをしない子もいます。ここでは、赤ちゃんがズリバイをしない、またはできない理由を解説します。
ズリバイに必要な筋力が弱い
ズリバイで移動するには、上半身を腕や肘で支えるための筋力が必要です。「頭を持ち上げる首の筋力」や「前後に動くための腕と脚の筋力」「体を支える背筋や腹筋」がまだ弱いとズリバイができない場合もあります。
うつ伏せが苦手
首がすわったばかりの赤ちゃんは、首だけでなく肩や背中の筋力も十分に備わっていません。頭を上げる姿勢が維持できず顔が床についてしまうので、うつ伏せによる頭の重みや息苦しさを嫌がる赤ちゃんもいます。
ズリバイへの興味が薄い
抱っこや寝返りなどズリバイ以外の移動手段で満足している赤ちゃんは、それほどズリバイに興味がわかないでしょう。
「体を動かしたい」「誰かのそばに行きたい」「興味があること」など好奇心や探究心がまだ現れていないのかもしれません。
股関節に問題がある
赤ちゃんがズリバイをしない理由には、「股関節脱臼」の可能性もあげられます。股関節脱臼は、骨盤に大腿骨の先が収まっていなかったり、外れてたりしている状態で専門家でも診断に時間がかかるケースがあります。
股関節脱臼の疑いなど様子がおかしい場合は、自己判断をせず小児科医や整形外科医に相談しましょう。
病気の可能性
ズリバイをしない理由に「低緊張(筋緊張低下症)」が原因の場合があります。低緊張とは、筋肉の張りが弱く体のコントロールが効かないことです。
とはいえ、ズリバイをしないからといって必ずしも病気というわけではありません。「病気かも……」と自己判断せず、不安がある場合はかかりつけの小児科医に相談しましょう。
ズリバイのトレーニング
ズリバイのトレーニング方法を紹介します。0歳の間にうつ伏せやズリバイ、ハイハイなどたくさんの運動をすると、赤ちゃんの体幹は鍛えられ、腕や足の発達が促されます。無理をせず、赤ちゃんのペースに合わせて少しずつやってみましょう。
トレーニング法:赤ちゃんの名前を呼ぶ
少し離れた場所から赤ちゃんの名前を呼んであげると、パパやママの所へ近づこうとズリバイをする可能性があります。また、手を叩いたり、音を出したりして呼ぶのもおすすめです。
そして、赤ちゃんがパパやママの方に近づけたらたくさん褒めてあげましょう。このようなコミュニケーションをくり返すことで、赤ちゃんのズリバイに対する意欲が促されます。
トレーニング法:足の裏を押す
赤ちゃんがズリバイを始めるために、パパやママが赤ちゃんの足の裏を軽く押すという方法があります。足の裏を軽く押して、前に進むきっかけを作ってあげましょう。
首がすわって間もないころの赤ちゃんは、脳と体がうまく連動しません。自分の体をスムーズに動かすのがまだ難しいので、パパとママは赤ちゃんと遊びながら前に進む感覚をつかむサポートをしてあげましょう。
トレーニング法:おもちゃで気を引く
赤ちゃんの手が届きそうな場所に、お気に入りのおもちゃを置くのもおすすめの方法です。赤ちゃんは大好きなおもちゃをつかもうと手を伸ばします。そのはずみで体が前に進み、ズリバイを始めるケースもあるのです。
トレーニング法:脚の動かし方を教える
赤ちゃんを仰向けの状態で脚を動かして、股関節が回ることや膝を屈伸できることを教えてあげましょう。
赤ちゃんはそれまで自ら動くことがほとんどなかったので、股関節や膝の動かし方がわからない可能性があります。脚の動き方や使い方がわかると、ズリバイを始めるきっかけになるのです。
トレーニング法:環境を整える
ズリバイのトレーニングを始める前に、ズリバイをしやすい環境を整えましょう。
・角の尖った家具にはコーナーガードなどをつけて、ぶつかってもケガしないように工夫する
・床が滑りやすい場合は、カーペットやコルクマット、畳などを敷く
・赤ちゃんが動き回りやすいように部屋を整理整頓する
・赤ちゃんが誤飲しそうな物を置かないように注意する
赤ちゃんにとって安全な環境作りを心がけると、ズリバイを始めやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、ズリバイとハイハイの違いや始めるタイミング、ズリバイがもたらす効果とトレーニング方法などについてご紹介しました。
赤ちゃんの成長一つひとつは、パパとママにとって幸せな瞬間ですよね。しかし、なかなかズリバイやハイハイをしないと不安になるかもしれません。
赤ちゃんの成長にはそれぞれ個人差があります。赤ちゃんのペースに合わせてパパとママは焦らず、落ち着いて見守ってあげるのが大切です。そして、ズリバイをしない原因やトレーニング方法を知り、赤ちゃんの成長を楽しみましょう。